成分セミナー3【ビタミンC】ビタミンCの種類と特徴

[2023年7月24日 更新]

ビタミンCは美肌の万能薬といえるほど、さまざまな作用をもっている一方で、大変デリケートな成分であるとお話しました。
その特性を理解して、肌や用途に合うビタミンCの種類を使い、適切な方法で管理することも大切です。

ビタミンCの濃度

高濃度ビタミンCとは、ビタミンCの配合量が多いことを指します。 ビタミンCは、濃度が高いほど効果も高いと言われていますが、一方で高濃度配合すると、使い心地の面で「べたつき感」を生じ、肌表面は「つっぱり感」を感じるなどデメリットが生じる場合もあります。何%からこのように感じるかは、個人の肌質や体の状態とも関係するので一概に言うことはできません。高配合のものは、一度自分の肌にあうかどうか試してから使用することが大切です。

医薬部外品のビタミンCの配合量の上限は3%ですが、化粧品はビタミンCの配合量の規制を受けていないため、医薬部外品の配合量を超えて高濃度で配合することが可能です。しかしながら、際限なく高い濃度を配合しても、肌が受け入れることができる量には限度があり、必要以上に供給しても蓄積しておくことはできず、体外へ排出されてしまいます。

肌がビタミンCを受容できる濃度は、最大でも9%くらいが限度といわれており、医薬部外品の上限が3%と決められていることを考慮すると、ホームケアで使用する濃度は3~9%くらいのものを、継続的にコツコツと与えていくのが適切です。反対にこれ以下の濃度の場合は、ビタミンCが配合されていても効果を期待できないということも言えます。

ビタミンC誘導体の種類

ビタミンCには、ピュアビタミンCやプロビタミンC(ビタミンC誘導体)など、様々な種類があることは先にお話しました。さらにビタミンC誘導体にもいくつかの種類があります。

ビタミンCのいろいろな種類

リン酸型ビタミンC 誘導体

水溶性ビタミンC誘導体の中でも、最も安定しています。ビタミンCにリン酸基がついて安定し、肌へ浸透した後にリン酸は切り離されて純粋なビタミンCへ変わり、その効果を発揮します。

◆[リン酸アスコルビルMg(マグネシウム)](APM)
水溶性のビタミンCでは、最も効果が高いと言われています。高価なので、化粧水よりも美容液などに多く使用されています。

◆[アスコルビルリン酸Na(ナトリウム)](APS)
もっともポピュラーなリン酸型ビタミンC誘導体です。APMと比べると多少刺激を感じやすいのですが、水に溶かしやすいので院内処方などで多く使われており、充分な効果を得ることができます。コストパフォーマンスもよいため、一般的にビタミンC誘導体を配合している化粧品はこちらを使用していることがほとんどです。

化粧品では、それぞれの特性と使用目的を考慮して、メーカー独自の配合割合で製造しているものが好ましいといえるでしょう。

即効持続型ビタミンC誘導体

◆[3-O-エチルアスコルビン酸](ビタミンCエチル)
安定性と即効性に優れた水溶性ビタミンC誘導体です。皮膚内での酵素反応を受けなくても効果を発揮することができ、肌に入ってすぐに効果を発揮できるため即効型と呼ばれています。水溶性ビタミンC誘導体の弱点であった持続性についても、72時間程度の長い持続性があり、安定性も高いため長期保存が可能です。

進化型ビタミンC誘導体

◆[パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na](APPS)
油溶性と水溶性の両方の特徴を併せ持つビタミンC誘導体です。そのため、化粧水やクリーム等の幅広い化粧品に配合することが可能で、単純塗布でもより高い浸透力を発揮します。ビタミンCの欠点であった、ベトつきやつっぱり感も改善され、刺激も少ないビタミンC誘導体です。一方で原料は高価で化粧品に高配合することが難しく、安定性にすぐれないため、保存や保管に十分な配慮が必要な成分です。

油溶性ビタミンC

◆[テトラヘキシルデカン酸アスコルビル](VC-IP)
皮膚との馴染みがよく、吸収性もすぐれた油溶性のビタミンC誘導体です。細胞内に容易に取り込まれ、ビタミンC活性を充分に発揮します。効果持続も48時間以上と長く、肌への刺激も少ない成分です。油溶性のため、ジェルやクリーム、美容液などに配合されることが多い成分です。

保湿型ビタミンC誘導体高機能タイプ

◆[ヘキシル3-グリセリルアスコルビン酸](VC-HG/アミトースHGA)
通称[VC-HG]は、ブライトニング効果に優れた水溶性ビタミンC誘導体です。 ビタミンCとグリセリンの融合によって生まれた、乾燥しにくい保湿型ビタミンC誘導体アミトースVCのなかでも、さらに高い機能が備わっています。 シミのもととなるメラニンに4とおりのアクションでブライトニング効果を発揮。多様なシミ生成の工程に対して、多角的に働きかけるビタミンC誘導体史上初の成分です。

ビタミンCの保存

ビタミンC誘導体は、ピュアビタミンCに比べて酸化しにくいと言われていますが、それでも酸化しないわけではありません。現在、市場に出ているビタミンC配合化粧品のうち、小売店の棚に並んでいる商品は、そのほとんどに酸化防止剤が配合されているか、ビタミンCそのものが酸化防止剤として配合されています。また、そうではない商品も未開封の場合の有効期限が明記されているはずですから、一般的な化粧品のように3年もの期間、有効な商品は少ないのです。 冷蔵保管イメージ

酸化防止剤が無添加のビタミンC配合の化粧品は、ビタミンCの酸化を防ぐため未開封であっても冷蔵庫で保管しましょう。未開封の場合は冷蔵保存しても製造から1~2年以内に、開封後はできるだけ早く1~2ヶ月以内で使い切ることが品質保持のために重要と言えます。 毎回、冷蔵庫から出し入れして使用するのが面倒な場合は、清潔な小分けの容器に1週間分くらいを移し替えて、残りを冷蔵庫に保管しておくという方法であれば、酸化するダメージも抑えることができます。

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